こんにちは、「おやじサーファーの生き方戦略」です。
「サーフィン履歴」シリーズ第4弾。今回は、結婚・新婚旅行・育児というビッグセットにより、人生で初めて“海を離れる決断”をした時期について振り返ります。
ひとり国府浜と“孤高ごっこ”の日々
関西に引っ越してからというもの、
僕の週末は「国府浜」と書いて、当時の僕にとっては“ひとりぼっち”と読むようになった。
行き先は三重の伊勢・国府浜。
大阪のサーファーにとっては“定番中の定番”だ。
決まって、池田のおばちゃんの駐車場に車を停め、
ワックスを塗りながら一人でブツブツ。
「今日も乗れん気しかしない…」
「え、あの人、ロングであんな動けるん…?」
「てか、俺、誰とも喋ってなくない?」
当時はまだ“孤高のサーファー”という言葉を自分に言い聞かせていたが、
実態はただの“友達いない人間”だった。
出会いは天満、始まりはしつこめ
東京時代は恋人もいて、海の後にLINEしたり、週末会ったり、
それなりに青春ごっこもしていたんだけど…
関西に越してきて数ヶ月——
その彼女とは自然消滅。
(距離って、波より恐ろしい)
そんなある日、天満の飲み屋でナンパをした。
いや、正確には「勇気を出して話しかけた」つもりだったんだけど、
後から聞いたら「だいぶしつこかった」らしい。へこむわ。
でもまあ、それがきっかけで連絡先を交換し、何度か飲みに行って、気づけば付き合う流れに。
この出会い、僕は「奇跡」と呼んでるけど、
嫁の記憶では「テンションに押された」らしい。
「じゃあ今度、一緒に海に行こうか?」
—が、これが失敗だった。
初めて一緒に行った国府浜、
彼女は日傘とサンダルで海を見ているだけ。
僕はひたすら波待ち。
気を使って30分で切り上げたが、
帰りの車内、ラジオだけが喋っていた。
新婚旅行で爆発した“海と観光の温度差”
それでも、何だかんだで結婚した。
そして、新婚旅行はバリ島。
そう、サーファーの聖地。
もう言うまでもないが、
僕の頭の中はサーフィンのことでいっぱいだった。
「朝イチ、チャングー行けるか?」
「夕方のウルワツも良さそうやな…」
その間、嫁はというと、スパやショッピング、観光を満喫する予定だったらしい。
お互いの“新婚旅行像”がすれ違っていたことに、現地2日目にして気づく。
そして、バリの空の下——
キレられた。
「なんなん!? 海、海、海って! 新婚旅行やろ!? 普通に観光しようや!」
(ぐうの音も出なかった)
「いや、夜は一緒に遊ぶし、昼だけちょっと海に…」
と、言い訳しようとしたけど、口が乾いて声が出なかった。
そして僕は、ボードを抱えて部屋の隅で黙った。
その後はちゃんと観光もしたし、夕焼けの海辺を一緒に歩いたし、
あれはあれで思い出深い旅になったと思う。
(多分…)
ひとり国府浜と“孤高ごっこ”の日々
ダブルアップ的人生の波、双子誕生
新婚旅行から帰って数ヶ月後——
妊娠発覚。
しかも、双子。
まるでバリのダブルアップみたいな人生のセットが来た。
サーフィンは一度止まった。でも——
こうして、僕はしばらく海から離れることになる。
だって、あの時の嫁のイライラっぷりを横目に海入ってる場合じゃなかったし、
「双子」と聞いた瞬間、いろんな“覚悟”が求められた。
それに何より、自分でも気づいていた。
「今は、波じゃない」って。
でも、波からは離れたけれど、サーフィンのことを完全に忘れた日はなかった。
育児という修行の中でも、心のどこかでずっと「戻る日」を信じていた。
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